Keith Jarrett's Solo Concert in LA
2006年 03月 13日
アメリカに帰ってきてから一番楽しみにしていたイベント、
キース・ジャレットのソロ・コンサートに行ってきました。しかも場所は
ウォルト・ディズニー・コンサート・ホール。以前建物を見学には行ったけど、実際にホール内で音楽を聴いてみたことはなかった。今回、日本人が音響設計を手がけ、しかも世界的にもその完成度が認められているというこのホールで、しかも大好きなピアニストの生演奏に浸れるなんて、もう行く前からかなりうきうき。
コンサートは夜8時スタートだけど、駐車場が混むことを恐れて、だんなに「できるだけ早く仕事をあがってね!」と伝えておいたら少し早くあがってくれたので、無事5時半くらいに出発することができた。高速の渋滞も月曜日は他の曜日よりもましで、7時前にはコンサート・ホールへ到着。ホール内のカフェで軽食を取って、ショップを見たり散歩したりしているとあっという間に開場。この日は遅れて演奏開始後に来た人はインターミッションまで入れない、という注意書きがチケットと一緒に届いたからか8時過ぎには (座席数が2265席あるという)ホールは満席に埋め尽くされた。私の横に座った少年は3年前からジャズを聴き始め、友達の勧めでキース・ジャレットを聴き出して好きになったそうで、この日はサン・ディエゴから来たそうな。この日のコンサートは
ロスでは23年ぶりのソロ・コンサートだそうなので、きっともっと遠いところから来た人もいるだろうな。(写真はコンサート・ホールのWeb上にあったモデル写真だけど実際もこんな感じだった。ちなみに会場内はもちろん撮影不可、なのでここにアップした画像はすべてウェブから拝借しました。)
いよいよコンサートが始まる。席は安いチケットを買ったのであまり良い席ではなかったけど、音響は噂どおりとても良かったし、きちんと双眼鏡を持参したので、キースの“しわ”までしっかり見えて、席の遠さはまったく苦ににならなかった。彼は1945年生まれなのでもう60を超えたおじいさん。なので立ち上がってリズムを取ったりハミング(彼の演奏中の奇声は有名、笑)しながらピアノを操る彼の姿はなんだかちょっぴりかわいらしかった(な~んて言うと失礼?!)。
1曲目は抽象的で観客として心地よいという感じではなかったけど、生キースに圧倒される。2曲目はグルービーでキースも腰をふりふり、なんだかもっと小さいジャズバーで一緒に揺れたり掛け声かけたいなあ、と思うようなノリのあるもの、そして3曲目は来た!来た!ケルン・コンサートのようなまどろみたくなる美しいメロディー。満面に笑みを浮かべながら双眼鏡をのぞく私。なんかキースも上機嫌っぽいぞ!おおおー、やっぱ来て良かった!その後も数曲いい感じの演奏をしてくれて前半終了。
後半は演奏開始前にキース自らのMCが入る。彼は「ずっと機会を伺っていたけれど、今回ハリウッドのあるこのロスでコンサートをするのならきっと適当だと思うので、アメリカ史上に残る偉大な映画監督ジョン・カサヴェテスに捧げたい」というようなとコメントを残した(と思う)。へええ、キースはカサヴェテスが好きなのかー。確かに「アメリカの夜」というジャズ映画を作っているなあ、あの監督は。なんて思い出す私。私は「グロリア」しか見てないから近々この映画、見てみよう、と思いながら後半を聴きに入る。演奏する彼の姿は上の写真のように中腰になって体をねじりながら陶酔に入ったり、と、体全体が演奏を奏でているようだ。
そんな熱演の中で、残念ながら寒さが戻ったロスは風邪っぴきが多く、この日もせっかくのキースの演奏の途中で何回も人々の咳ばらいが聞こえた。キースはちょっと神経質すぎて観客がうるさいと機嫌を損ねたりするらしい、と聞いていたし、きっとこの咳ばらいはうっとおしかったろうと思うけど、幸いきついコメントはなかった(と思う。)後半を終了し、アンコールにも3回もこたえてくれたし、アンコールの途中でも「僕もともと西海岸は嫌いだったんだけど、今日みたいに歓迎を受けるんなら東と同等だな。」とかいうコメントも言ってくれたし、私の見る限り、この日は結構エンジョイしていたんじゃないかな。この日のコンサートは公式に録音されたらしいので、いつかCDになって出るといいな、と期待している。キース、見れてよかった~。次は小さめの会場でトリオやバンドの音楽を聴きたいな。
最後に私が愛聴している彼のCDを紹介します。
①もちろん
ケルン・コンサート
②スタジオ録音の
メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー
③
ウィーン・コンサート