和魂洋才の気持ちを忘れず過ごす京女のシアトル(ロス近郊から引越しました)生活日記

by mikis1128

Recent Favorite Writer

f0045736_10231467.jpg最近お気に入り、というか、3冊続けて読んだ小説家、長野まゆみ。日本帰国時に1冊、シアトルに行く飛行機の中で1冊、そして雨の月曜日に1冊、楽しんだ。まずは「カンパネルラ」。このタイトルはもちろん宮澤賢治好きならはっとする名前。そしてあとがきで筆者自らもこの名前をむやみやたらに使ったり、彼以外の誰かにその名を与えてはいけないことは重々承知で、決して軽はずみに使ったものではなく、敬意を表している・・・というような内容&実は最初の頃の『銀が鉄道の夜』では少年の名前はカンパネルラではなくカムパネルラだったんだよ、なんて講義まで載っていて勉強になった。物語は柊一という主人公が彼の兄、夏織(かおる)を訪ねて彼の療養している叔父の家を訪ね、そこで不思議な隠れ処を見つけ・・・といった話。その中でタイトルの「カンパネルラ」がキーワードになって、私もその不思議な空間に吸い込まれていく。彼女の文体は古き懐かしき記憶を想い出させる。この物語では、昔、祖父母が住んでいた岩倉の小さな山奥を探検していた頃の記憶を。タイムスリップしたような、そんな甘酸っぱい気持ちを味わいたい人にはオススメなのでは。ちなみにこの本を読んで初めて「銀木犀」が存在することを知った!
f0045736_10233466.jpgそして次に読んだのは、「三日月少年漂流記」。彼女の作品、すべての名前がとても素敵。この小説の主人公である2人の少年の名前は水蓮銅貨。この作品は、一度しか見ていないけれど、昔見に行って感動した維新派の演劇「ロマンス」をも少し思い出すような架空と現実の世界のはざまで起きる小さな事件をそっと陰で盗み見しているような(2人の少年が三日月少年達を盗み見しているのとシンクロして?)気分になった。(ちなみに小説に登場する三日月少年とは、充電式のニッカド電池で動く自動人形なんだけど、展示されていた三日月少年が逃げ出したことから物語は始まる)この少年が彼女の別の小説「天体議会」にも出てくるそうで、この本もいつか読んでみたいな。そして裏の主役である三日月少年がまた出てくる「三日月少年の秘密」は図書館の転送サービスでまわってきたので、また雨の日にのんびりと逃避行気分を楽しみたいと思う。
f0045736_10235363.jpg最後にこの日読んだ「夜間飛行」も、 サン=テグジュペリの小説のタイトルにもあるものだ。私はサリンジャーの「夜間飛行」は読んでないんだけど、宮澤賢治を敬愛してそうな長野まゆみ、そりゃあサン=テグジュペリももちろん好きなんだろうな、そしたらきっと私もこの本、好きだろな、と思って買ってみた。だいたい「夜間飛行」って言葉が持つ響き自体が好き。私にはふわっと現実の世界から消えて空想の世界に入り込めそうなニュアンスがあって。長野作品を読んでいると、名前だけでなくいろいろなモノが独特の表現力ですごくすごく貴重なものに感じられる。そしてすべての食べ物、飲み物がおいしそうに感じられる。「三日月少年漂流記」でもかなり食欲をそそられたけど、「夜間飛行」ではタンポポのリキュールだとかシナモンたっぷりのシャルロット・・・。ミント嫌いな私でも「スノードロップ」という言い方をされるとミント入りの砂糖でも食べてみたくなる。檸檬水だって「シトロンプレッセ」と書かれるとすごくおいしそうな気になる。全体的にこの本は特に『カタカナ』の持つ語感が素敵だった。(ただし英語とフランス語が混ざっているのが全部フランス語に合わせても良かったかも?なんて思うけど。)この小説は最後に鐘の音が「カン・パネラ、カン・パネルラ、カン・パニア・・・」と鳴るところで終わるんだけど、そうなるとその続きにまた「カンパネルラ」を読みたくなった。それで、せっかくなので本を手にしてブログに残そうと思ったのだ。

そういえば、「三日月少年漂流記」のあとがきで、「夜間飛行」について少し触れているのだけど、どうやら単行本には素敵な挿画が挟まれているらしい。私は文庫本だからそれらの挿画が見れないのがちょっと残念。いつか挿画も見てみたい。とりあえず彼女の作品3つ、どれもそれなりに気に入ったので、次は図書館で借りてきた「三日月少年の秘密」と「東京少年」を読む予定である。
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by mikis1128 | 2006-04-03 00:00 | 4.Movie, Book, Music